歌
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わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて 世に忘すられず |
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歌意 |
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私の妻はひどくわたしを恋い慕っているらしい。飲む水に妻の面影さえ映ってきてどうしても忘れることができない。 |
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作者 |
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若倭部身麻呂(巻20−4322) |
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歌
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あらたまの 寸戸が竹垣 編目ゆも 妹し見えなばわれ恋ひめやも |
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歌意 |
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麁玉の伎倍の竹垣の編目のほんのわずかなすき間からでも愛しい人が見えたならば、何で私が恋に苦しむことがあろう。 |
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作者 |
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作者不詳(巻11−2530) |
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歌
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伎倍人の 斑衾に 綿さはだ 入りなましもの 妹が小床に |
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歌意 |
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伎倍人のまだらに染められた夜具に綿がたくさん入っているように、自分も入れば良かったのに、愛しい人の寝床に。 |
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作者 |
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作者不詳(巻14−3354) |
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歌
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あらまたの 伎倍の林に 汝を立てて 行きかつましじ 寝を先立たね |
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歌意 |
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麁玉の伎倍の林にお前を立たせて待たせながら、今やは行けそうにありません。先に寝てください。 |
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作者 |
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作者不詳(巻14−3353) |
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