●水に関わる自然
1.秋葉ダム湖と千本桜 2.阿多古川の清流 3.安間川 4.いなさ湖
昭和33年(1958)、秋葉(あきは)ダムの完成により、ダム湖「秋葉湖(あきばこ)」が生まれ、私たちの大切な水がめとなっています。「千本桜」とは、湖畔を中心に天竜川東岸およそ10kmにわって咲き誇るソメイヨシノの通称です。毎年3月下旬から「秋葉ダムさくらまつり」が開かれます。 平成20年(2008)、環境省の「平成の名水百選」に選定された、魚鱗のきらめきが見えるほどの清流。天竜区熊付近の沢を水源とし、同区渡ヶ島で天竜川に合流しています。「青谷不動の滝」など阿多古七滝と呼ばれる多くの滝や瀬もあり、渓流釣りや水遊び、キャンプ等のレジャースポットとしても人気があります。 天竜川水系の一級河川。東区豊町辺りに源を発し、南区東町辺りで天竜川に合流する11.4kmの一級河川。飯田公園より下流は、かつての天竜川西派川の跡地を流れ、希少種のコウホネやナガエミクリの群生もみられ、自然豊かな懐かしい風景が残っています。 昭和59年(1984)洪水調節用のロックフィルダム「都田ダム」の完成により誕生したダム湖。鯉、鮒など多くの魚類が生息し、冬にはオシドリやカモ類が羽を休めます。湖岸は、親水公園として整備され、桜、花桃、紅葉、ツツジなどが植栽され、野鳥が飛び交う森と湖の自然を満喫できます。
天竜区MAP 天竜区MAP 東区・南区MAP 北区MAP
5.猪鼻湖と瀬戸 6.遠州灘 7.遠州灘海岸のアカウミガメ 8.大千瀬川の清流
浜名湖北西部、北区三ヶ日町に位置し、東は大崎半島、西はミカン園となっている山地や台地によって囲まれています。瀬戸に架けられた2つの吊り橋と太鼓橋も人気。カキ棚のある湖面も自然と人間の営みを感じさせる風景。川からの流入が少なく水質の悪化が心配されていましたが、近年、浄化への取組みが進んでいます。 浜松市の海岸のすべてが遠州灘に面しています。遠州七不思議、天気の変化を知らせる「波小僧」と言い伝えられた太平洋の海鳴りの音、水平線からの日の出。市街地のビルや遠方の山からも望め、変わらぬ自然を感じさせてくれる沿岸域です。沖を黒潮が流れ、シラス、フグ、カツオなどの漁業も盛んです。 遠州灘海岸一帯は、アカウミガメの産卵地として知られています。産卵は毎年5~8月。地熱で温められた卵は、50~90日でふ化。子ガメたちは太平洋へと帰って行きます。アカウミガメが産卵する浜は、私たちにとっても良い環境。浜松市の文化財(天然記念物)に指定され、自然保護団体の指導の下、保護活動がされています。 愛知県に源を発し、佐久間町浦川を流れる天竜川の支流。中央構造線上を流れ、川底や川原には花崗岩が多く、植生するコケを食べる香り高いアユなどが生息している自然豊かな清流。古くからの川漁の漁法、落ち鮎を捕獲する晩秋の風物詩「やな」も仕掛けられます。
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9.奥浜名湖 10.気田川の清流 11.御陣屋川のミクリ群落 12.佐久間ダム湖と周辺の緑
都田川が流れ込む細江湖や、夕日が美しい大崎海岸、「だいだらぼっち」が投げた小石の伝説が残る礫島、澪つくし。冬には10数種類、スズガモやホシハジロなど約3万羽のカモ類が群がる渡り鳥の飛来地になっています。細江湖は「引佐細江」とも呼ばれ、『万葉集』にも歌われています。「天浜線」の列車が湖岸を走る風景は郷愁を誘い、ユリカモメが群れ飛ぶ様は圧巻。昭和40年代、天皇ご一家が静養に訪れた五味半島(プリンス岬)もあります。 天竜区水窪町に源を発し、春野町を南進、同区小川で天竜川と合流しています。かつて筏流しが行われた清流は「日本一きれいな川のまちづくり」計画に基づき、水質浄化と河川環境の保全整備への活動が続き、アユ、イワナ、アマゴなどが生息。釣り、カヌー、キャンプなど、アウトドアのステージとしても親しまれています。 浜北区内野地区を流れ馬込川に合流しています。自然のままの流れが残る箇所が多く、メダカやタナゴが泳ぎ、絶滅危惧種ヤマトミクリの県内唯一の群生地でもあり、植生保全の活動も行われています。春には、川岸の約120本の桜並木が明るく彩ります。 「自然と人工美の調和」が謳われた佐久間ダム。昭和31年(1956)に完成した佐久間ダムによってできた人造湖「佐久間湖」の周辺には豊かな自然が残り、サクラ、新緑、紅葉と四季を通しての美しい景観を、静かな湖面に映して楽しませてくれます。ダム湖底で進行している堆砂に対する早急な対応が求められています。
北区MAP 天竜区MAP 浜北区MAP 天竜区MAP
13.佐久間の河内川 14.佐鳴湖 15.白倉峡 16.新宮池
天竜区佐久間町佐久間を流れ、「厚血川」と表記されることもあり、数々の民話が語り継がれている「龍王権現」「機織渕」「たっくい渕」などの滝を含む天竜川の支流です。日本最大級の断層「中央構造線」によってできたケルンコル(断層鞍部)を流れています。 ギンブナ、オイカワ、ウナギなどの淡水魚の他、近年は浜名湖からの流入水もあり、ボラ、スズキなどの汽水魚も生息しています。カワセミの姿も見ることができ、冬には、カモ類の飛来地となり、「パンダ鴨」と呼ばれて人気の高いミコアイサも。「日本一汚染度の高い湖」返上のための取り組みが、効果を上げつつあります。 天竜区龍山町―巨岩、奇岩を縫って流れる白倉川に沿った約10kmの渓谷の中心。大自然に抱かれての森林浴、滝涼み、ヤマメ釣りの他、遠州屈指の新緑、紅葉の名所として知られています。 天竜区春野町、標高668mの山頂にある新宮神社内の自然池。スギやヒノキに囲まれた周囲約500mの池は、涸れることのない湧水をたたえています。諏訪湖との地底水路の言い伝えや竜蛇伝説が残り、ジュンサイも生育しています。
天竜区MAP 中区・西区MAP 天竜区MAP 天竜区MAP
17.水神社の湧水 18.百古里川の昆虫 19.仙巌の滝 20.龍山の不動の滝
西区西山町に湧き、毎分1tの豊富な湧水は東神田川の水源となっています。浜松の都市部にもある数々の湧水池の代表。神社境内には、絶滅危惧種に指定されているキンランが自生しています。 天竜川の支流、二俣川の上流が百古里川。ムカシトンボ、ヒメサナエ、スギタニルリシジミ、ミスジチョウ、ウスバシロチョウなどの珍しい昆虫が生息する貴重な自然が残されています。 北区滝沢町、「滝沢キャンプ場」近くにあります。落差はありませんが、水量は豊富で迫力のある滝音が楽しめます。周辺の山ではカブトムシやクワガタが遊び、水辺にはサワガニが顔を出します。 頭上からはるか足元へと落ちていく滝を、観瀑台の上から見るという珍しい滝。総落差100m以上、何段にもなって流れ落ち、主瀑部は32m。迫力満点の流れです。
西区MAP 天竜区MAP 北区MAP 天竜区MAP
21.稚児の滝 22.天竜川河口 23.天竜川の豊かな自然 24.富塚の新川の自然
道の駅「花桃の里」の奥、天竜区佐久にある落差15mの滝。上部で2つに別れた流れが、再び一つになって一気に滝つぼに流れ落ちています。光明寺の美しい稚児が滝水に打たれて修行し名僧になったのが、名前の由来とのことです。 遠く諏訪湖に端を発した天竜川の水の、長い旅の最終章―ここで太平洋へと注ぎます。東海地方では唯一、オジロワシが越冬。広大な葦原は、オオジュリンなどの小鳥やタカ科のチュウヒなどに、格好のすみかを提供しています。 広大な浜松市を、天竜区、浜北区、東区、南区と南北に縦断し、かつての「暴れ天竜」は、水際から河岸段丘、森林までとの多様な環境が保たれた自然豊かな流域です。アユやトウヨシノボリなどの魚類や昆虫、鳥類のほか、天竜区ではツメレンゲ、ヤシャゼンマイなどの貴重植物が確認されており、河川沿いの山地は「天竜美林」と讃えられたスギ、ヒノキの人工林に覆われています。 別名「ねんど川」とも呼ばれ、佐鳴湖を経由して浜名湖に注いでいます。絶滅危惧種のミカワバイケイソウ、シロバナカザグルマ、イカリソウが自生する貴重な環境。イシガメやホトケドジョウが棲みつき、鳥やエビ、ホタルなどの水辺の生物も生息しています。
天竜区MAP 南区 天竜区・浜北区・東区・南区 中区MAP
25.中田島砂丘の風紋 26.布滝 27.花川流域の動植物 28.浜名湖
南北約0.6km、東西約4kmに渡って広がる砂丘で、遠州浜(遠州大砂丘)の一部。海岸侵食により規模は縮小しましたが、風によって砂上に描かれる風紋で知られ、ハマヒルガオやコウボウムギなどの海浜植物が多く見られます。「浜松まつり」の凧揚げ会場にもなり、ボランティアによる海岸清掃も砂丘の環境を守る大切な活動です。 天竜区水窪町、県道水窪森線を山住神社方面へ約2km入った辺り。水窪川の支流、水窪河内川のそびえ立つ岩壁「切通し峡」の中に、糸をたらしたように流れ落ちています。秋には紅葉、春にはヤシオツツジが彩ります。 のどかな田園風景の中を流れ、浜名湖に注いでいます。春には川沿いの桜が彩り、夏から秋にかけてはコスモスが咲き乱れます。自然の残された流域には、ニホンアカガエル、アズマヒキガエル、ニホンイモリなどの貴重種の他、小魚を狙うサギ類なども生息しています。 面積は全国10位ですが、形は複雑で変化に富み、周囲長は3番目、汽水湖としては、日本一となっています。国内有数の渡り鳥の飛来地であり、スズキ、キス、カレイなど魚種も多く、ノリやアサリ、カキなども生育。周囲の緑や養鰻池を含め、浜松市を代表する風景として百人百様に思い浮かべる自然。西岸に沈む夕日は絶景です。古名「遠津淡海(とおつあわうみ)」は、「遠江」の由来とされています。
南区 天竜区MAP 中区・西区MAP 西区
29.浜名湖弁天島
         とイカリ瀬
30.船明ダム湖と周辺の緑 31.舞阪漁港 32.馬込川
浜名湖は弁天島今切で外洋とつながり、潮の干満により大きく表情を変えます。干潮時には大きな干潟となって現れるイカリ瀬周辺には海浜植物の群落があり、他の生物も豊富で、特にアサリの潮干狩りは人気。赤い大鳥居に沈むオレンジ色の夕日が見られます。 船明ダムによってできた人造湖は、オオタカ、クマタカ、カワセミ、アオゲラなどの野鳥が生息する森林を湖面に映し、カヌー、ボートの漕艇場として整備されました。春の湖畔は桜の名所となっています。 舞阪港周辺の浜名湖は、黒鯛、キビレ、セイゴ、カレイ、コチ、カワハギなどの釣り場としても知られ、ノリの養殖も盛んです。今切口より戻る漁船に翻る大漁旗は、シラスの水揚げで有名な、資源豊かな漁港の証です。 浜名用水を水源とし、浜松市の中心部を縦断、芳川と合流して太平洋に注いでいます。堤防には桜並木や緑地があり、季節の移り変わりを楽しむことができます。
西区MAP 天竜区MAP 西区MAP 浜北区・東区・中区・南区
33.馬込川河口 34.水窪ダム湖と周辺の緑 35.都田川 36.明神峡
砂浜、中洲、干潟、アシ原が続き、アオスジアゲハなどのチョウやセミ、トンボ、バッタなどの多様な昆虫類、ツバメ、コアジサシのほか、渡り鳥の中継地、休憩地として、またカワウやサギの営巣地として恰好の環境が残され、バードウォッチングを楽しめます。 天竜川水系唯一のロックフィルダム「水窪ダム」の完成によりできたダム湖「水窪湖」は、コイやヘラブナ、冬はワカサギ釣りの名所として知られています。春には新緑、秋には周囲の紅葉を見渡せる人気の場所です。 主に北区を流れ、井伊谷川と合流して浜名湖に注いでいます。小魚が泳き、シジミやカワニナが棲み、石の下にはサワガニがいる、懐かしく豊かな自然が残っています。また、浜名湖に注ぐ辺りは、県内唯一のヒヌマイトトンボの生息地となっています。また、堤防の桜の下で催される「姫様道中」は、姫街道に因んだ祭りです。 明神峡は、天竜区春野町勝坂から水窪町門桁に至る、気田川沿い約5kmの渓谷。カエデやケヤキ、ブナなどが色づく秋には、激流に洗われた岩肌や巨岩に映える紅葉が美しく、一層変化に富んだ風景となります。
南区MAP 天竜区MAP 北区・浜北区 天竜区MAP
37.龍王権現の滝 38.六郎沢のホタル
天竜区佐久間町にあり、青く水をたたえる竜宮淵には大蛇が住んでいたという雨乞いの伝説が残る滝。河内川には、「機織淵」「たっくい淵」「どんどん淵」などの滝もあり、カジカガエルの鳴き声を聴きながらの「滝めぐり」が楽しめます。 県道9号沿い、天竜区熊にある小川の流れる、どこか懐かしい里山の風景。6月の夜には、地域の人たちに守られた無数のゲンジボタル、ヘイケボタルによる光の乱舞が楽しめます。
天竜区MAP 天竜区MAP
●緑に関わる自然
39.秋葉山 40.岩岳山のヤシオツツジ群落 41.浦川キャンプ村の自然 42.遠州灘海岸と防風林
天竜区春野町と龍山町にまたがる標高866mの信仰の山。山頂に祀られる秋葉神社、三尺坊秋葉寺を囲む規則正しく植えられたスギ林は、樹齢数百年と言われる人工林。貴重種のギンリョウソウやエンシュウムヨウランなどのラン科の腐生植物も生育し、アカショウビンの姿を見ることもできます。 天竜区春野町にあり、標高1369mの原生林の山。4月末から5月にかけて全山を彩るアカヤシオ、シロヤシオの群落は樹齢100年以上と言われ、国の天然記念物に指定されています。伝説の「京丸牡丹」とは、このヤシオツツジのことではなかったか、とも言われています。 天竜区佐久間町を流れる大千瀬川と相川の合流点の中洲にあり、吊り橋を渡って入村する緑に囲まれたキャンプ場。せせらぎの音が心地よく、夏の夜にはホタルが乱舞、カジカガエルの鳴き声を聴くこともできます。 遠州灘海岸に続く林は、防風・防砂・防潮林としてクロマツを中心に植えられたもの。松林を抜ける海風は浜松市を代表する音の一つですが、最近、松枯れ被害の広がりが心配され、再生への取り組みが進められています。
天竜区MAP 天竜区MAP 天竜区MAP 南区・西区
43.遠州灘海浜公園 44.遠州のほそば(イヌマキ)囲い 45.大草山 46.奥浜名湖展望公園からの風景
中田島砂丘を取り囲む広域の公園。広い敷地では樹木や季節の花々が楽しめ、カワウ、ハクセキレイ、マガモ、オオヨシキリ、シジュウカラ、オオバン、アオサギ、コサギ、カワセミ、モズ、ホオジロ、メジロ、ジョウビタキ、カルガモなど、多種の野鳥観察もできます。 「ほそば」とはイヌマキのこと。遠州地方の屋敷垣として、家や畑をぐるりと囲む生垣は、屋敷や生垣内での作業をからっ風から守るため、多くは北西の角を高く仕立てていました。木の実「やんぞうこんぞう」も、「ほそば囲い」に親しんだ遠州独特の呼び方です。 舘山寺温泉街の対岸にある標高113mの山。山頂の展望台からは、眼下の浜名湖をはじめ、遠くに遠州灘、天気の好い日には富士山まで見渡せます。浜名湖パルパルから山頂展望台までを、「かんざんじロープウェイ」が所要4分で結んでおり、一帯は公園として整備され、夏の内浦湾では、風をはらんだヨットやウィンドサーフィンのセールが見られます。 展望台からは360度が見渡せ、南はみかん畑や浜名湖、北は引佐、北遠の山々、東は中心市街地を一望できる絶好のビューポイント。鳥のさえずりを楽しみながら、浜松の自然の豊かさを実感することができます。
南区MAP 市全域 西区MAP 北区MAP
47.奥山線跡の遊歩道 48.乎那の峯のマンサク群落 49.枯山のギフチョウ 50.北浜の大カヤノキ
昭和を感じさせてくれる懐かしい風景。「亀山トンネル」から「広沢トンネル」へと抜ける奥山線の軽便鉄道跡が、遊歩道として整備されています。街路樹が美しく、野生化したタイワンリスに出会うこともあります。 「万葉集」にも詠われた北区三ヶ日町の「乎那の峯」は、日本の南限と言われるマンサクの群生地としても知られています。早春に糸のように細い花びらの花を咲かせ、山が黄色く染まります。遅咲きの「三ヶ日桜」も知られています。 北区引佐町にある枯山では、落葉樹林の下に、「春の女神」ギフチョウの幼虫の食草となるヒメカンアオイが生育する環境が保全され、観察道の整備により、カタクリで吸蜜するギフチョウの姿を手軽に見ることができます。 樹齢600年、樹高22.3m、目通り幹周5.4mの大カヤノキは、国内のカヤノキとしては最大級のもの。昭和29年、国の天然記念物に指定されています。
中区MAP 北区MAP 北区MAP 浜北区MAP
51.県立森林公園の
    アカマツ林や湿地群
52.佐鳴湖公園の緑 53.椎ノ木谷の里山 54.渋川の
    シブカワツツジ群落
天然のアカマツ林を主体とした豊かな自然に恵まれた森林内には、1,000種類以上の植物やシジュウカラやオオルリ、カワセミなど約100種類の野鳥が確認されています。また、浸み出した水が湿地を作り、食虫植物などの湿地性の貴重な植物や、トンボ、チョウなどが四季の変化を楽しませてくれます。 市街地近くの佐鳴湖両岸に広がる緑豊かな公園です。湖面に四季の彩りを映し、散歩、ジョギング、バードウォッチング、ウチワヤンマやコクワガタなどの昆虫の自然観察など、水辺の自然を満喫できる憩いの空間です。 佐鳴湖に流れ込む新川流域にある椎ノ木谷には、ミカワバイケイソウ、ナガボナツハゼ、キンラン、イカリソウなどの貴重種が生育し、懐かしい里山風景を守ろう!と、市民中心の保全活動が進められています。 痩せて乾燥した蛇紋岩地帯に自生し、県の天然記念物に指定されているツツジ科ツツジ属の落葉低木。「シブカワ」の名がつくツツジの学名は「ジングウツツジ」。自生地は「ツツジ公園」として整備され、5~6月に紅紫色の花を咲かせて山頂を彩り、遊歩道の上をドームのように覆います。
浜北区MAP 中区・西区MAP 中区MAP 北区MAP
55.下百古里の将軍杉 56.尉ヶ峰 57.スーパー林道 58.瀬尻スギ展示林
県道63号線沿い、天竜区横川の武速神社の境内にあり、樹高39m、目通り幹周10.6m。伝承によれば、延暦12年(797) 征夷大将軍坂上田村麻呂が、蝦夷征伐にのぞみ勝利を祈願した際に、地に挿した箸が根づいて育ったものと伝えられています。 北区細江町にある標高330mの山。尾根伝いに歩き、奥浜名湖を眺望しながらの手軽なハイキングコースとして人気があります。領主に追われたイノシシが転げ落ちたという「獅子落とし」の坂道に因み、イノシシの親子のモニュメントが立てられています。 天竜区東雲名を起点とし、北遠地域を縦断して水窪ダムに至る総延長52.9kmの山道。竜頭山を含む県有林は「天竜の森」として整備され、ドライブの途中、国の天然記念物のカモシカやヤマドリの姿を見かけることもあります。冬季は、雪や凍結のため閉鎖。 明治21年(1888)、天竜林業の父・金原明善翁が植栽したスギが残る展示林は、間伐や下草刈りなどの手入れも行き届き、かつて「天竜美林」と讃えられた北遠の山を、最良の状態で保っています。
天竜区MAP 北区MAP 天竜区MAP 天竜区MAP
59.高根城を囲む自然と
     歴史の重なる風景
60.滝沢展望台からの風景 61.東海道の松並木 62.鳥羽山公園
       からの眺望と桜
人気の高い北遠の山城の中でも最も整備された城跡。信州へと続く「塩の道」を見下ろし、本曲輪(ほんくるわ)部分に井楼櫓(せいろうやぐら)、主殿、城門などが、450年の時を経て復元されています。 眺望が良く、浜松市街地はもちろん、遠州灘まで見晴らすことができます。オオタカ、ハヤブサなどの猛禽類が生息し、サシバの渡りも報告されています。また、展望台の周辺で、石灰岩地帯特有のカレンフェルトも観察できます。 旧東海道の松並木は、徳川家康の命令でクロマツが植えられたのが始め。正徳2年(1712)、馬郡村の境から舞阪宿の東のはずれの見付石垣まで、8町40間(約920m)の間に1120本植えられた、とあり、約400年後の今日でも道の両側に立派な松が並び、約400本が残されています。 家康が二俣城に攻略のとき、本陣を構えたところとして知られています。眼下に天竜川に架かる鹿島橋を見下ろし、遠くは浜松市街地、遠州灘を見渡すことができます。春には、山一帯が桜色に染まり、秋の紅葉も見逃せません。
天竜区MAP 北区MAP 西区 天竜区MAP
63.富幕山 64.中ノ尾根山 65.根上がり松 66.浜名湖ガーデンパーク
浜松市の最高峰、標高2296mの南アルプスに連なる山。タカネコウリンカ、グンナイフウロ、イワインチンなどの群落が報告され、高山植物群の南限を更新した山として知られ、ニホンジカの目撃も数多く報告されています。 樹齢200年と推定されるクロマツ。土の流出により根の部分が2m以上も地表から浮き上がっています。かつて鴨江寺「三十三観音」のうち19番目の観音が祀られていたため「十九番観音根上がり松」とも呼ばれていました。浜松市指定天然記念物。 「浜名湖花博」会場跡を整備し、面積56haの大規模都市公園として再開されました。「街」「里」「西側」の3つのエリアに分かれ、木と花と水の調和が取れた静かな自然の中で、手入れの行き届いた四季折々の花を満喫することができます。
北区MAP 天竜区MAP 中区MAP 西区MAP
67.浜松城公園の四季 68.春埜杉 69.姫街道の松並木 70.船明の二本杉
出世城・浜松城を中心に、「日本庭園」「中央芝生広場」など、市民の憩いの場として親しまれています。春にはサクラに彩られ、多くの花見客で賑わいます。池にはカルガモも住みつき、野生化したタイワンリスに出会うこともできます。「文芸館」「松韻亭」、森の中の美術館「浜松市美術館」も人気の施設です。 天竜区春野町、春埜山の山頂近くの大光寺境内にあり、樹齢1300年と伝えられる巨樹。樹高43m、目通り14m、枝張り31m、大きく枝を広げた荘厳で荒々しい姿は他に類を見ることがなく、見る者を圧倒します。 東海道の脇街道である姫街道のアカマツとクロマツの並木。中区の三方原追分から西区大山町にかけての道の西側にだけ、かつての面影のままに残されています。 国道152号、船明ダムの東、かつての諏訪神社参道にあり、樹高33mと29mの二本杉。船明ダム工事により5m程埋められましたが、浜松市の天然記念物に指定されています。
中区MAP 天竜区MAP 中区・西区 天竜区MAP
71.細江公園と周辺の緑 72.本坂峠のツバキ原生林 73.満州道路の防風林 74.万葉の森公園と
     不動寺のツツジ群
展望台からは、田園風景、「引佐細江」、東名高速の浜名湖橋が一望できます。通称「公園山」には、与謝野晶子句碑、天皇陛下の歌碑、清水みのる、吉野江水、万葉歌碑などが建つ「文学の丘」のほか、国民宿舎「奥浜名湖」、聖観音などが点在します。夕景・夜景のスポットとしても人気。 本坂道(姫街道)が静岡県から愛知県に入る峠道には、樹齢200年を超えるツバキ原生林が続き、2月中旬から3月上旬にかけてヤブツバキの花のトンネルができ、真っ赤な落花が石畳に彩りを添えます。 北区を真っ直ぐに北上する都田テクノロードは、かつて「満州道路」と呼ばれ、三方原の赤土に遠州のからっ風を防ぐマツが縦横に植えられ、防風林となっています。 『万葉集』には花木や野草を詠んだ歌が数多くあり、植物の種類は160種にのぼります。カタクリ、カワラナデシコ、マユミ、ハギなど、万葉集に歌われた植物を中心に栽培展示され、隣接の不動寺には多種のツツジが彩りを添えています。
北区MAP 北区MAP 北区 浜北区MAP
75.水窪かたくりの里 76.美薗中央公園の緑 77.都田総合公園の緑 78.モクレン通り
県内有数の群生地。日当たりの良い雑木林の斜面に自生する約35,000株のカタクリは、3月末~4月上旬の短い期間にピンク色の花を咲かせます。ほぼ同じ季節、ニリンソウの可憐な花を見ることもできます。 浜北区のほぼ中心部にある総合公園。「どんぐりの森」「花見広場」など自然と触れ合える公園として、子どもからお年寄りまでの幅広い市民に親しまれています。メタセコイヤの並木は、黄緑色の新緑、黄色く色づく紅葉と季節ごとに変化に富んだ表情を見せてくれます。 「都田テクノポリス」の西端の丘陵地を利用した公園。「増沢池」や吊り橋、「日だまりの里」「せせらぎ園地」など、緑豊かな既存林を生かし、野鳥のさえずりを聞きながら自然と触れ合う憩いの場として親しまれています。コモウセンゴケなど、貴重な湿地植物も生息。 かつての「奥山線」跡、約8km続く北区の通称「軽便道路」の街路樹は約550本の白モクレンが植えられ、いつしか親しみを込めて「モクレン通り」と呼ばれるようになりました。春には芽吹きに先立ち、白くて大きな花が一斉に開きます。
天竜区MAP 浜北区MAP 北区MAP 北区
79.野鳥の森(水窪) 80.四ツ池公園と周辺の緑 81.竜頭山 82.緑化推進センターの見本園
スーパー林道を北へ進み、「カモシカと森の体験館」の近くにあります。標高1,200~1,300m。ブナの大木を含む手付かずの貴重な原生林の中で、オオルリ、ヤマドリ、クマタカなどの野鳥や、アサギマダラ、ムカシトンボなどの昆虫も姿を見せます。 4つの農業用ため池を活かし、昭和16年、旧浜松市に初めて誕生した公園。曳馬野の面影を残した緑豊かな公園として、市民に親しまれています。貴重な湿地植物が残り、カワセミ、コゲラ、キセキレイなどの野鳥を見ることができます。 天竜区春野町と佐久間町とにまたがる標高1352mの山は、遠州一円から見ることができ、「遠州富士」とも呼ばれています。ブナやミズナラなどが育つ「天竜の森」は、森林の中を歩き、自然と触れ合うゾーンとして整備されています。初夏のハナイカダ、ツツジやヤマユリなど、スギやヒノキの下でひっそりと花を開いています。 南区飯田町に広がる公園には50種15,000本の樹木が植えられ、活きた「樹木図鑑」として整備されています。また30種以上の野鳥が姿を見せますので、1年を通してバードウォッチングを楽しむこともでき、サシバの渡りのコースにもなっています。
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83.渡ヶ島諏訪神社
          のクスノキ
天竜川右岸に鎮座する「渡ヶ島諏訪神社」の社叢は、全体が市の天然記念物に指定され、クスノキ10本、シイ1本、タブノキ1本、スギ13本、ヒノキ1本、ムクノキ2本からなる境内林。中でも鳥居横のクスノキが最大です。
天竜区MAP
●地形などに関する自然
84.青崩峠 85.二本杉峠から望む中央構造線 86.ホウジ峠の中央構造線 87.竜ヶ岩洞
長野県との県境にある標高1082mの峠。中央構造線の巨大な地殻変動によって造られた青い岩盤のガレ場が、日本列島誕生のロマンを物語っています。 二本杉峠から見下ろすと、天竜区佐久間町佐久間の家並が見えますが、この真っすぐに延びた鞍部が、中央構造線によって造られた断層谷(ケルンコル)。日本最大規模の巨大断層の姿を見ることができます。 ホウジ峠より東に見下ろす谷が、「今田のケルンコル」と言われる断層谷。中央構造線は、まさにここを通り、内帯と外帯の特徴の異なる岩石の露頭や、破砕帯にできた青色の粘土も観察することができます。 北区引佐町にある総延長1000mを超す鍾乳洞。2億5千万年前の石灰岩地帯にあり、「鳳凰の間」や「シャンデリアの間」、落差30mの地底の大滝など、迫力満点の見どころがいっぱいです。鍾乳石の成長は100年で1cm。石灰岩を溶かす地下水の芸術は、長大な時間の流れを感じさせてくれます。
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88.竜ヶ石山のカレンフェルト 89.鷲沢風穴
「竜ヶ岩洞」の近くにあり、カレンフェルトとは石灰岩の奇岩が林立するカルスト地形のこと。通称「三国一の山」と呼ばれる標高359.1m(さんごくいち)の山頂からの眺望も良く、「りゅうがし」の名の由来となっている竜の爪痕伝説の残る巨岩が残っています。 石灰岩地帯にあり、「水平天井」が珍しい鍾乳洞。『静岡県の湧き水100』に選ばれた美味しい天然水も湧いています。
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●歴史や文化に関わる自然
90.秋葉山・秋葉神社
           の社叢
91.大栗安の棚田 92.岩水寺の桜 93久留女木の棚田
和銅2年(709)、行基による開山と言われている秋葉山本宮秋葉神社の樹齢数百年の神聖なスギの巨木に囲まれた境内林。社叢全体が市の天然記念物に指定され、「市の鳥」ウグイスのさえずりも聴かれます。 天竜区大栗安の神明山の中腹に広がる8.6ha、約480枚の階段状の水田。棚田の歴史は、江戸時代中頃までさかのぼると言われています。『日本の棚田百選』にも認定され、地域の人たちやボランティアの力で、歴史と環境とを守る活動がされています。 行基の開山と言われる古刹。500本のソメイヨシノやシダレザクラが、歴史ある境内を彩る桜の名所として親しまれています。 北区引佐町に、平安から室町時代に開かれたと伝えられる総面積7.7ha、約800枚の棚田。観音山から湧く水を使い、長い歴史のある棚田と、畦作りや田植えなど、昔ながらの米作りが地域の人たちによって守られています。
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94.光明山遺跡からの眺望 95.蜆塚公園を囲む緑 96.実相寺の歴史ある庭園 97.瀬尻の段々茶畑
光明山の山頂にあった山岳寺院は火災により消失、現在は崩れかけた石組みや燈籠などだけが残る遺跡。眺望はすばらしく、浜名湖、遠州灘ばかりか、東は浜岡、御前崎、遠くは富士山までも見張らせます。 蜆塚遺跡は、縄文時代後・晩期(約4,000~3,000年前)のムラの跡を中心とする公園。発掘調査当時のまま保存されている貝塚のほか復元家屋もあり、緑豊かな自然公園としても市民に憩いの場を提供しています。 北区引佐町の寺に、江戸時代前期に作られ、三岳山を借景とした築山式枯山水庭園で、樹木と石との調和が見事。鐘楼門などとともに、禅寺ならではの雰囲気を味わうことができます。県指定文化財。 天竜区龍山町の急傾斜の斜面の石積みに階段状に造られた、天へと続く高低差100mの茶畑。「静岡県棚田等十選」に選ばれています。
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98.長楽寺の満天星の庭 99.三ヶ日のみかん園 100.山住神社のスギ 101.龍潭寺庭園
県下最古の梵鐘と鎌倉期の馬頭観音が伝えられる長楽寺の、小堀遠州作の名園。約200株のドウダンツツジが、春には白い小花を咲かせ、秋には紅葉し、四季折々の美しさで彩ります。 三ヶ日でのミカンの栽培の始まりは約280年前。紀州から持ち帰った1本の苗木から、日本有数のミカン産地に発展しました。浜名湖を見下ろす日当たりのよい南向きの斜面には、ミカン山が一面に広がり、甘くさわやかな香りの花は浜松市の「市の花」になっています。 天竜区水窪町の山住山山頂に鎮座する神社は「お犬さま」として有名。境内にある2本のスギの御神木はいずれも樹齢1300年と伝えられ、県の天然記念物に指定されています。境内だけでなく周囲の山も、江戸時代に山住大膳亮が36万本のスギを植林したと伝えられています。 小堀遠州により江戸時代初期に築かれた池泉鑑賞式庭園です。数多くの石組みで、滝や渓谷を表現。国の名勝記念物に指定され、遠州の庭園を代表する名園です。春はサツキの花、秋はドウダンツツジの真っ赤な紅葉と、四季折々の変化を楽しめます。
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102.歴史を刻む
         方広寺の森
臨済宗方広寺派の総本山。山門をくぐると五百羅漢の並ぶ坂道が続き、樹齢600年と言われる半僧杉などの杉木立に囲まれ、自然と歴史が重なる荘厳な雰囲気を感じさせる風景が広がります。
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